くろみつの隅の囁き

文化系全般を勉強中。2〜3次元までミーハー気質。又吉ごととか。

ようやくお金を前向きに使い始めたアラサー女の2017年振り返り。

2017年の出来た事・出来なかった事をしっかりと分析しようと思ったけれど、
よく考えなくても大したことを出来ていないのはわかっているので、薄っぺらい内容になりそう。
ということで、単純に自分的なニュースを思い出せる範囲で雑多に書いていって、
こんな傾向があるなあ、くらいにざっくりと振り返ろうと思う。
 
<2017年私のおもな出来事>
・これまでの人生の中で一番映画館で映画を観た。
 →年12回観るのが目標。結果は15回、達成率125%
・転職はしていないけれど、職場環境と仕事内容が変わった。
・人生初パーマをかけたら推しに似ていると言われた。
 →「ピース又吉みたい!」ちょっと嬉しいけど複雑。そして2週間でパーマは落ちた。
iPad Proを購入。スマホと2台持ちになった。
 →気軽に動画が観られて、雑誌や本が読め、容量を気にせずアプリがインストールできて便利。
・Aujua沼から抜け出せない
 →ポンプの付いてる500mlをリピ。シャンプー&トリートメント。
  美容院のキャンペーンで安くなるタイミングを狙って購入。毎日使用だとすぐ無くなるので、
  ドラッグストアのものと交互に使用。髪が明らかにさらさらになる。髪がもはや別の素材になる。
・ようやくお金の勉強を始めた
 →今後貯金を全額銀行預金のままで良いのか疑問を持ったため、
  まずはできるだけ分かりやすそうなお金の本を読み漁る。でもまだ資産運用は始めていない。
電子書籍で漫画まとめ買いを覚えてしまった
 →hontoはセット購入キャンペーンで30%オフ、そこから更にクーポンで何百円引き、
  運が良ければポイント30倍付与キャンペーンとかをたまにやっていて、その辺を上手く
  活用すれば実質半額くらいで買えたりする。のだめカンタービレとか懐かしくて揃えたし、
  3月のライオンbanana fishとかも購入。
・コスメカウンターに初めて1人で乗り込んだ
 →コスメカウンターのお姉さんは綺麗だし、メイクが完成されすぎていてなんだか怖い…少なくとも
 私が足を踏み入れていい場所ではない、と思っていたけれど、アガるコスメ垢を見ているうちに
 欲しい気持ちが出てきて思い切って突入した。事前に「コスメカウンター 初めて」とかで検索した。
 戦歴はIPSAとエスティローダとADDICTION。IPSAの肌診断とか良かった。
・習い事は今年も順調だった
 →社会人になる前に始めたささやかな趣味。特に大きな変化はないが古株になってきた気がする。
・落とし穴に落ちるようにハイロー沼へ落下した。
 →「EXILE系?TAKAHIROしか顔がわからないや〜」とへらへらしてた私が、
 CLAMP経由でHIGH&LOWを知り、軽い気持ちで観てみたらずぶずぶと沼に沈んでいった。
 男前に生まれ変わってLDHに所属してハイローに出演したい。
・喪服を購入
 →細身を購入したので太ってはいけない。
・動画配信やメルマガ等定期課金サービスへの抵抗が少なくなった。
 →定額課金のサービスはお金を使ったという感覚が持てずに引き落とされてしまう
 魔のサービスという認識から避けてきたけれど、今では喫茶店の珈琲1杯分の値段で
 ドラマや映画が見放題だし、雑誌読み放題だし、面白い文章が読めたりするし、
 これだけ楽しめるなんて実質タダでは…という気になっている。(dTVとかHuluとかdマガジンとか)
 
出来事というか、だいたい目新しくお金を落としたことのメモですね。
※恋愛のことと、どの現場に行ったとかはひとまず省いています。
 
[傾向]好きなことにお金を遣う余裕ができた。
「お金を使いたくない」という思念が人並み以上に強い方だと思う。
何事にも費用対効果をまず考えてしまいがちで、他人との付き合いにおいても、飲み会・旅行とか
あまり行きたくないものは色々と理由を付けて断ってしまい、付き合いの良い人間ではなかった。
自分に対するお金の使い方も同様で、雑誌で気に入った服があっても1万円以上は滅多に買うことは
無かったし、コスメもプチプラ勢。自分の外見にお金をかけること自体があまり無かった。
そんな私ですが、2017年はは意識的に、やりたいと思ったこと・欲しいと思ったものに対して
お金を使うことを決意。迷ったら買う方を選ぶ。その結果ミーハー気質が加速してエンタメ全般を
色々楽しめたし、デパコスとかオージュアとか美容方面でも「すごい!かわいい!」みたいな感動が
多くあって、楽しい1年だったと思う。人付き合いも2016年に比べて少し改善できたかも。
 
貯金が無いという事は、何かやりたいことができた時や何かがあった時に、自分の選択肢を
狭めてしまう事だと考えている。いずれ転職をして給料がすごく下がるかもしれない。
1人暮らしで今以上にお金がかかるかもしれない。何かを学びたいけれど費用面で
諦めざるをえないかもしれない。自分や家族の病気や怪我で一時的に働けなくなる
かもしれない…等。その中でも特に、「自分のキャリアや生き方の転換期にお金があまりない
状況に陥るのが怖かった。お金があれば、ひとまず生活はできるし、何かを学ぶ余裕もあるけれど、
お金が無ければそうはいかない。それだけリスクを取って選択しなければいけなくなる。
だから、社会人になり給料が入るようになっても、気持ちよく趣味・好きなことにお金を
使えないでいた。だけど、社会人になって数年経過して。何かあっても少しは生活できる、
または何かはできるだろうというお金は貯まったので、「お金を使いたくない」という思念から
少し自分を解放させることが出来た。
闇雲にお金を使える程お金持ちになったわけでは無いけれど、2018年は更に自分の好きな事・
夢中になれそうなこと・興味のあることにお金を費やしていければと思う。
 
 
 <推し界隈・その他の出来事>
 ・綾部さんがハリウッドのレッドカーペッドを歩くため渡米。
 →推しの芸人が芥川賞作家になるだけに留まらず、その相方がハリウッド俳優を目指して
 渡米した2017年。インスタでお洒落な写真をアップしている。HPが格好良くてブレない。好き。
・「久保みねヒャダこじらせナイト」が地上波を去る。
 →毎週楽しみだった番組。時折イベントやっているけれど、人気すぎて気がつけばチケット完売。
まゆゆがAKB卒業
 →私はたかがお茶の間ファンだし、AKB自体にそこまで強い興味があったわけでは無いけれど、
 一番推していたのはツインテールの頃からまゆゆだった。王道アイドル。ソロの活動も
 応援しています。
℃-uteが解散
 →こちらも結局チケットは取れなくて、お茶の間ファンで終わってしまったけれど、
 一時期毎日のようにMV見てた。同じMV10回ぐらい繰り返し見たりしたけど全然飽きなかった。
 元気をもらえたアイドル。数年後には世界的に人気出るだろうなと思っていた。
 
 
ざっくり振り返ってみると、自分が稼いだお金をどのように使うのか(あるいは使わないのか)
を常に考えていて、その判断基準には明確な正解が無いから、試行錯誤していたのだと思う。
貯金が全然無かった頃は、できるだけ使わないことで失敗しないようにしていたけれど、それによりやっておけば良かったと後悔することも多かったので、2017年はできるだけお金を使ってやりたいことをやる事を意識した。そもそも基本的に臆病な性格なので、ギャンブルにでもハマらない限り破綻することは
無いと思う。お金を使い過ぎるリスクよりも、使わないことでやりたいことを出来なくて後悔する
リスクの方が圧倒的に大きいという事に気がついた2017年でした。

今更だけど今年の直木賞作品を読み終えた。「流」東山彰良

又吉が芥川賞を受賞した時、同時受賞をした羽田圭介さんは、世間の注目を又吉に奪われてしまって気の毒だ、なんて思われている節があって、羽田さんがテレビ番組に出演すると、「又吉さんと同時受賞という事に関してはどうお考えですか?」みたいな質問をよくされていた。それに対して羽田さんは「ラッキーだった」と答えている。実際今年の芥川賞の2作品は例年と比べ、普段読書をしないような人達にも多く読まれていると思う。

 

逆に、東山障良さんの「流」は一般的な読者というより、長年本を読んできた読書家や、同じく物語を紡ぐ作家さんに絶賛されている印象がある。

こんな事を言える立場でもなんでもないけれど、「流」というタイトルや、東山さんの名前は、あんまりインパクトを与える名前ではない。というか、又吉はともかく、羽田さんの「スクラップ・アンド・ビルド」というタイトルや羽田さん自身のキャラが強すぎるだけで、とりわけ東山さんが目立たないわけではないとは思うんだけれど。

 

兎に角、直木賞は満場一致で東山さんに決まったと言うし、選考委員の北方謙三さんも大絶賛。又吉が受賞して連日メディアで騒がれている時から、「流」は近いうちに絶対に読もうと決めていた。そして、やっと読んだ。(買って読み始めるまでが長かった)

 

流

 

 

 

この物語については一部分を取り上げてここが良かったと言うより、全体の印象として、また読んでいる時の感覚として、主人公と、それを取り巻く人々の「人生」を見守ってきた、あるいは体験してきた感じで、読後感にこっちの世界に戻ってきた感覚が強かった。

 

個人的には、上橋菜穂子さんの作品を読み終えた時の感覚に近い。

考えてみれば主人公を取り巻く登場人物の多さといい、国や、国が辿ってきた歴史を人物一人一人の随所に感じさせる所といい、共通点が結構多い気がする。

上橋さんの作品ではカタカナの名前と用語が多くて、まとめて読まないとその用語の意味や人物の相関関係を忘れてしまって、少し読み直すことになる。「流」は当たり前だけれど漢字が多いから、名前含めやはり途中で中断すると世界に入り込みにくくなってしまうだろうなと思った。

 

これだけ壮大な物語で、祖父の死に関わる部分に関しては、現在も残る歴史の暗い影が深く関わっていたりするけれど、それでもあまり政治的問題の暗さばかりを感じないのは、主人公の恋愛とか、友情とか、将来への不安とか、当たり前の、誰でも経験するような日常がちゃんと組み込まれているからだと思う。なんか、読んでいて映像が流れてくるような小説だった。

 

「この物語面白かった」というよりは、とある人の人生を知ってしまった、経験することができたっていう感覚。つまり読んで良かった。台湾と中国の関係や、日本との関係。ふわっとしたイメージしか持たずに両国の関係をあれこれと考えてしまいがちだけど、現実としてこういう事件があったとか、それを経験している人が今も生きているとか、その子孫が育っているとか、小説を読むことで実感できる歴史の現実感みたいなものがあったし、自分の無知さ加減も痛感した。テレビのニュースの限られた尺の中で見る掻い摘んだ歴史的事実や事件の映像よりも、そこに住む人々の生々しい生活や人生を物語として読んだ方が現実味がある…みたいな。

そういう意味でも、東山さんにしか書けない物語なんだろうなと思った。

貴重な読書体験ができました。

自分の肌を美化するためにいくらお金を払えるか。

私は肌が綺麗ではない。

中学生の頃から徐々にニキビに悩まされ、写真を撮ればテカテカした自分の肌に失望した。潰すと跡になると言われても白い膿をおでこや鼻の下に付けたまま友達と話すのは嫌だったので、時折綿棒で潰すようになった。

 

跡に残ると親にも散々言われていたから徹底的には潰さなかったけれど、学期末試験の前でイライラしている時、部屋の掃除をしたくなる、最近読んでいない漫画を引っ張り出して読む、その次にしたくなるのがニキビを潰すこと。よくある試験前の現実逃避。あるいは潰せるニキビが無ければ、鼻周辺の毛穴につまった汚れを押し出したりした。そして社会人になった今、ここ1年くらいで膿んで仕方なく潰した顎のニキビの跡が、最近ぽつぽつと残り始めていることに気がついた。

 

これまでニキビには散々悩まされたけれど、時折潰してきたのにも関わらず、あまり、というかほとんどニキビ跡は残らなかった。ニキビ自体も思春期を終えると大人ニキビになり、Tゾーンにできていたニキビは顎エリアまで下がったので、顎周辺以外でそんなにニキビに悩むことは無くなっていた。

また、私は美容に多くのお金をかける人の気持ちがあまり理解できなかった、というよりわかるけれど、旅行とか本とか漫画とか、もっと別にお金を使いたい事があったから後回しになり、安い化粧品を肌に塗ったくるくらいしかしてこなかった。

だから、ニキビ跡ができ始めてしまっても、始めはあまり大したことないだろう、そのうち時間をかけて消えてくれるだろうと思っていた。近くで見ると元々肌汚いんだし、顎ニキビくらい大したことないだろうと。

ただ、最近ふと外出先で自分を鏡で見て、この年とは思えないくらい肌が疲れている気がして。それに、コンシーラーをほとんど使っていないのもあるけれど、ニキビ跡が気になるようになり、一度気になると改めてニキビから解放される日なんてこないのかなと思った。

 

どうすれば治るのか?

治すのにいくら必要か?

 それで本当に綺麗になる保証はあるのか?

 

丁度この1年、足の傷跡を治すため美容皮膚科で経過観察をしてもらっていたので、ついでにニキビ跡も診てもらった。

元来美容に対しての財布の紐がきつく、「これをすると綺麗になる!」と断言するような謳い文句には警戒心が強くなる面倒臭い性質なので、フォトフェイシャルだとか、ビタミンC導入だとか、確かに効果はあるのかもしれないけれど、そこまでお金をかけるつもりは全くないと思っていた。

ただ足の傷跡も経過は順調だし、 先生自体色々勧めてくることもなく、こっちが質問するままに丁寧に説明してくれる人で信頼しているのもあり、先生が勧めるのならある程度お金を払っても安心だと思った。

 

まずは跡を直す前に現役ニキビを減らすことからという事で、塗り薬とビタミンCである程度落ち着かせた。

ケミカルピーリングを月1くらいで行うと肌のターンオーバーを促進してニキビ跡にも効果がある事を知ったけれど、土日に月1で通院するのは面倒臭いなあ、と思っていたら、すごし過激だけど、とフラクショナルレーザーっていう治療法もあるよ、と言われた。治療法や効果等丁寧に説明してくれて、でもここではやってないから、やりたいなら別の皮膚科を紹介する、という感じだった。価格は病院により異なるけれど、5万くらいかなあ、と。

1万円程度のケミカルピーリングですら渋る私にとってはもちろん大金です。

ただし1回の効果を考えると、何度もピーリングしにくる手間と交通費、あるいは何もしなくても毎日顎ニキビを気にするストレスとか考えると、1度やってみるのもありかな〜と。もちろん即決はしないのでもう少し様子を見るけれど。

 

そしてコスメの事を少し考え直した。

色々ググって、気になったエトヴォスのスキンケアを現在使用中。

これまでの20数年間で5000円前後する化粧品は買ってこなかったから、お金かけてることになるけど、ポイントもたまるし、多分良心的なんだと思う。

丁度LINEでセールをやっていて30%オフで手に入ったりしたし、暫く使う予定。

そして数日前同じくエトヴォスのミネラルファンデのお試しキットが届いた。

とりあえず2週間くらい使って試す所存。

10代の頃はもともと地のよくない肌を改善しようともせずお金をかけずに来たけれど、この1年は一度「そこそこお金をかけて」みようと思った。

具体的にいくらくらいだろう…?

必要なケアにもよるけれど、値段が高ければいいってわけでもない。

美容って効果がわかりにくいからお金だして大して変わらないこともありそうだし。

 

でも、フラクショナルをするなら5万、しないとしても数万は、ニキビ跡と現役ニキビ改善のため回そうと思った。ファッションもそうだけど、お金をかけようと思えばいくらでもかけられる割に、そうして買ったものが値段に見合ってるか判断しにくいのが美容だと思う。だから情報はしっかり調べた上で判断してお金を使いたい。

芥川賞受賞後のストレスで又吉が死ぬんじゃないかと心配する西加奈子さんについて。

又吉が経済について学んでいくNHK(Eテレ)の「オイコノミア」。毎回身近なテーマが取り上げられていて面白いので、又吉がレギュラーである事も含め私は毎週楽しみにしている。ゲストも個人的にいいなあと思っていた人がよく呼ばれるし、番組の雰囲気もお洒落で素敵。

www4.nhk.or.jp

そして先日、「祝受賞!文学ノ経済学」「どう決まる?本の"価格"」というテーマで2週に渡り、西加奈子さんがゲストとして出演された。芥川賞作家×直木賞作家×経済学者。

内容としては芥川賞を経済的に分析したり、「火花」や「サラバ!」を経済学的視点で考えたり、本の価格について勉強したり。やはり経済学に詳しくない私でも理解できるようなとっつきやすさで面白かった。ただ今回この2週を通して一番印象深かったのは、西さんと又吉の関係性であり、西さんの又吉への愛情?なんだか母親みたいな優しさをひしひしと感じたことだった。という事で、経済学的に勉強になったという事より、この2週での又吉と西さんのほのぼのしたやり取りの印象深かった話と個人的お気に入り場面のまとめをば。

 

 

●「サラバ!」に登場する主人公の友達「須玖」のモデルは又吉

大竹先生:又吉さんを思い起こさせる登場人物がいたんですよ。
 
"須玖はサッカーがうまいし、背は低くてもハンサムだ。なのにまるでその場にいない者のように気配を消すことがよくあった"
 
"本読んでたらなんやろう、この世の中にこんな世界があるんか、て驚いて。家の中で本開いてるだけやのに、一気に別の世界にいけるやん。"
 
"自分から積極的に何かを言うことはなかったが、誰かがふざけた後の須玖の一言は、ハッとするくらいセンスがあって、爆発的に面白かった。もちろん、学年中の皆が、須玖を慕った"
西加奈子著「サラバ!」より抜粋)
 上記の抜粋した部分について、又吉がモデルではないかという大竹先生の問いかけに対して、「そうですね。又吉さんを思って書きました。」と認める西さん。
西:インタビューとかでも何人かに又吉さんですか?と発売した直後に言われたことがあって、全部濁してたんですけど。私色んなところで又吉さんのお名前をお借りしてるから、ここでも言ったら「またのっかるんかい!」と思われるの嫌やなと思ってぼかしてたんですけど。発売した後で(もう今は)時間経ったから言っていいかな〜と思って。もうほんとにそうですね。
それに対して本人の反応は…
又吉:でも、なんていうんすかね。例えば太宰の「人間失格」読んで、大庭葉蔵を見て「これは俺や」って思うような僕で。で、別に西さんとお会いする前に(西さんが)書いた本でも、ほんまは甘めの珈琲のみたいけどかっこつけて苦めの珈琲飲んでる、みたいな描写があって、「これは俺や」と思ったりして。人物を描いていくと、なんかそういう風に見える時はあるのかなと。だから西さんに(自分がモデルだと)言ってもらって「そうなんですか?」とは思いましたけど。僕じゃない人も須玖を読んで「これ俺みたいやな」と思ってる人もいっぱいいると思うんですよね。

自分がモデルだっていう事実を固められてしまう事で、須玖に共感して、「これは自分の事だ」と感じた読者が、それを否定された気分になる事を考慮したのかな、と個人的には思った。 西さんの又吉への配慮も、又吉の読者への配慮も、優しさに溢れていていいなーと。

 

 ●又吉が受賞後の騒動のストレスで早死するのではないかと心配する西さん

natalie.mu

芥川賞受賞者と候補者の平均寿命(男性)は、受賞者が74.1歳に対して候補者は68.4歳。5年以上も寿命が異なるらしい。受賞と寿命の関係について、大竹先生の「成功者の又吉さん、いかがですかね」という問いかけに、「僕成功者のイメージあります?」と返す又吉。

西:でも又吉さん受賞して、その後の騒動のストレスで死にそうって思ってます私。(賞を)取って戴いて嬉しいけど、「もう黙っとったって!」と思いますなんか。 

 と又吉を心配する西さん。…そう。確かに騒がれすぎて心配になるっていうのは、芸人としての又吉をずっと応援している人とかは、結構同じように思っている人多いんじゃないかなと。更にこの芥川賞の平均寿命のデータに関して、

西:こんなに注目された受賞者っていないからほんとこれ(平均寿命)を下げるよね。
又吉・大竹先生:(笑)
西:いや、不吉なことじゃなくて!はよ死んでという意味じゃなくて(笑)

●又吉にお金が入っているのは日本中にバレてるから、変な人に貸してしまわないか心配する西さん

西:"変な人が来て「貸して」って言ったら貸しちゃいそう。早くにもう貸せないような、なんかお金を使っといてほしいなっていうのはちょっと思ってたんですけど。不動産でもなんでもいいけど、「ごめん貸せない」って物理的に貸せない状態にしないと、きっと又吉さんって、貸しちゃったりあげちゃったりするから。
又吉:いやでも、考えようと思ってますちゃんと。ハイ。
大竹:もう番組で住宅の買い方の話もやったんです。だからもう準備万端なんです。西:あ、ほんとですか。なんでもいいのでね。欲しくなかったらあれやけど、とにかくあげちゃうのだけは、と思って。
大竹:そうですよね。本当に望んで一番やりたいことにそれを使って欲しいですよね又吉:はい。
西:そうですよね、ほんとにそう思います。
又吉:そうします。オイコノミアでも色々学んできたんで。それを活かして。
3人:笑"

 …お母さんのような優しさ。

●西さんが「火花」を読んで感じたこと。

大竹:西さんは又吉さんの火花を読まれて小説家としてどういう風にお感じになられました?
西:もうほんとに読者として感動しました。こんな美しい…なんか本当に、作家やし、又吉さんの事を存じ上げてるから作家として読むのは嫌やなと思っていたけど、そんな心配は無用というか。本当にのめり込んだし。読者としてずっと、ずっと楽しかったです。楽しかったし泣いたし。「アホで優しくて強くて美しい」っていう。その感じが又吉さんそのものやなって思いました。全力でアホをやるってこんなに優しくて美しいんやなっていうことを、又吉さんはお会いする時もお会いできない時も体現されてる方やから。だからこの「火花」を書いたっていう事も私はおっきいボケやと思ってて、なんか「傑作書けんのかい!」みたいな。それがなんか「芥川賞取るんかい!」っていう大ボケを決めたような気がします。ここまで皆さんを楽しませてくれる方ってお会いした事ないですね。
大竹:なるほど〜。やっぱり芸人として最大のボケであったと。
西:芸人…もう全身芸人やと思います。
大竹:なるほど。すごいですね。
又吉:嬉しいですね。
西:やから本当にパーティーとかも授賞式とかも感動するけど、泣いちゃうけど、泣きながら笑うてまうんですよ。「なに立っとんねん!」みたいな。
大竹・スタッフ:笑
西:めっちゃ嬉しいんやけど、わかる?その、すっごいなんか。それがやっぱ火花とかぶるというか。めっちゃ笑いながら泣けるってそんな幸せな読書体験とか、人間としての経験ではないじゃないですか。

 

●その他個人的お気に入りポイント

・冒頭の築地での待ち合わせで、透明なビニールに魚1匹入れて現れる西さんが可愛い。「魚買ってました。お刺身用で。」

・いつものお団子ヘアではなく長い髪を一つに束ねていて美しい。

・西さんの説明のナレーションで、「サラバ!」は又吉に触発されて書いて、その「サラバ!」を読んで又吉が「火花」書いた。だから西さんは小説家又吉の生みの親?、と紹介されているけど、西さんが又吉の影響を受けて書いたのって確か「舞台」だよね…?須玖が出てるからそう説明してるだけかな?(これはただの個人的な疑問)

・新喜楽に入って、伝統的なランマを触る2人。「木やな」「木ですね。」

・大竹先生がいつもと違うお洒落眼鏡をしている。後に又吉が尋ねると、今日のために新調しましたと。冒頭から気になっていたので触れてくれてよかった。

・又吉の知り合いが経営する出版社、として夏葉社ロケ。「昔日の客」も映ってた。

 

又吉と西さんは雑誌でもTV番組でももう何度も共演・対談されているから、帯を書いた話とか、もう知っている話も結構あるけれど。又吉の受賞に対する西さんの心配とか、

お互いを尊敬し合ってるんだなっていうのが感じられて良かった。 

 とりあえず早く「舞台」を読み終えよう。

【映画】「LIFE!」を観て旅に出たくなる週末。

 

こういう、決して無理やりだったり、押しつけがましくはないけれど、観終わった後に「なんか頑張ろう!」と思える映画をずっと観たいと思っていた。個人的に受けた印象を一言で表すとそんな感じだった。つまり今元気でてます。あと評判とか調べる前からこの映画をずっと観たいと思っていた自分の勘?にちょっとだけ酔ってます(笑)

原題は「The Secret Life of Walter Mitty」

 

LIFE!/ライフ オリジナル版 (字幕版)

LIFE!/ライフ オリジナル版 (字幕版)

 

 


映画「LIFE!」 《人生が変わる》6分間予告篇 - YouTube

★あらすじ

雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、思いを寄せる女性と会話もできない臆病者。唯一の特技は妄想することだった。ある日、「LIFE」表紙に使用する写真のネガが見当たらない気付いたウォルターはカメラマンを捜す旅へ出る。ニューヨークからグリーンランドアイスランド、ヒマラヤへと奇想天外な旅がウォルターの人生を変えていく。

以下それなりにネタバレ注意。

 

★平凡・冴えない・妄想癖…なんか自分と被る。

私と被るというより、世の中のほとんどのサラリーマンは何処かしら共感できると思う、地味めで冴えないウォルター。序盤特に、彼の妄想(空想)が唐突に入ってきて一瞬「え、こんなアクション映画みたいなの?」と思ったが、すぐにそれが妄想だとわかると、笑えると共にこの妄想癖異常だなと…思えなかった。いや、笑えるんだけど、あれくらいの妄想私もあるなと思って。例えば…

 

大学で講義を受けていたら突然男が乱入。一列目の端に座っていた可愛らしい女学生(可愛い系の美人さん)を囮に「動くなよ」と周囲に銃口を向ける。

恐怖に静まりかえった教室で、スマホを取り出し堂々と警察に連絡する私を男が発見し脅されるが、実は私は特殊な力を持っており…そしてアクション映画的展開、とか。

(特殊な力を持ってるなら犯人も特殊な力を持っていればいいのに、なぜか自分だけ持っている不公平感。)

そういう意味不明だけどどこかの映画にありそうな展開をよく妄想していた(最近でもたまにぼーっとする)私にとっては、これ別にそんなに異常な程の妄想癖じゃないよね?と思ったけれど、多分私が普通に妄想族なんだと思う。

 

ともかく、序盤では事あるごとに妄想しつつもふと我に帰ると現実は冴えない主人公、という感じだった。それが、廃刊が決まった伝統的フォトグラフ雑誌としては相当重要であり、長年ネガフィルムを扱ってきた彼にとっても大きな意味を持つ(ある意味今後解雇されない可能性を少しでも高めるための大切な仕事でもあった)最終号の表紙のネガが見当たらない事から、実際に会った事は無いが長年仕事を通して絆を築いてきたフォトジャーナリストのショーンを探す旅に出る。

実は観る前の予測では、そんな冴えない日常をほっぽり出して、つまり仕事を辞めたり解雇されたりしてダメダメになってから、ひょんなことから旅に出て人生変わってくありがち展開?と思っていたけれど、仕事として、写真家ショーンのネガを求めて三千里、という感じだし、ずっと旅をしているわけでもない。一度会社に戻ったりしているし出張レベルからのスタートだったので、いくら行き先が遥か彼方のグリーンランドアイスランドだとしても、逆に現実感があってわくわくした。

そして、始めは妄想と現実の対比が際立っていたのに、徐々に現実が妄想を超えてきて、ウォルター自身そんなに妄想しなくなっていく。ヘリから海に飛び込むし、サメに襲われるし。それだと妄想なんてくだらない幻想にすぎなくなってしまうけど、たまに妄想により現実のアクションを後押しされている場面もあって、そこがまた素敵。(想いを寄せる女性が歌ってくれた事で勇気が湧いてヘリに飛び乗ったり。)

その後にもいいな〜と思うシーンが結構出てくるけれど、そうしてどんどん勇ましく、というか良い顔つきになっていくウォルターが、そんな「旅を通して男前になった」っていうありがち展開そうでいて全く不自然じゃない感じが好き。「だから旅はすばらしい」っていう展開だと、「旅をすること」自体に頼っているというか。

実際一人旅をしてみたりした私自身、もちろん得た事も多いし本当に旅してよかったとは思っているけれど、それにより人が驚く程成長するなんてことはないよな、と実感したことがある。ただ旅に出たくらいで簡単には人って変われないよな、と。

でもこの映画における旅は、旅先で素晴らしい人や出来事と出会ったおかげで何かが変わったのではなく、彼がもともと持っていた素晴らしい部分が旅で引き出されてきたというか。自分がもともと持っていた誇りを発見できたというか。それに様々な国の都市をめぐって文化や人と交わるっていう旅もいいけれど、グリーンランドアイスランドのような、壮大な大自然って感じの旅も素敵だな〜と。それにしてもショーンと会った時のあのユキヒョウのシーンはかなりの名場面。

 

ベン・スティラー監督・主演。

本当に私は映画通でもなんでもないので、ベン・スティラーといえばナイト・ミュージアム、くらいしか知らなくて。ナイト・ミュージアム面白かったし、その時この人かっこいいな〜と思ったくらいで、監督をやってるとかも全く知らなかった。というか映画観たあとエンディングロールで「…あれ?…主演と監督同じ…まさか?」と気がつくくらいの無知。ググったら49歳だと知り驚愕。30代だと思っていた…。

★音楽・BGMも良かったので暫く自分の毎日のテーマソングにします。

 

そんでもって鑑賞後一応日本語吹き替えもどんな感じか試してみて、びっくり。まさかの関西弁…!ウォルターってこういうキャラじゃなくない?別人じゃない?これギャク?公式!?ってなったけれど、別に岡村さんが悪いとかでは全くなく、何故関西弁で吹き替える事にしたのかただただ疑問に思う…。

 

さて。次はずっと焦がれてきたニュー・シネマ・パラダイス

【映画】異色の青春映画「私たちのハァハァ」を観てきた。

松井大悟監督「私たちのハァハァ」をひょんな事から観てきた。

今話題の監督の作品だとか、国際ファンタスティック映画祭の二冠に輝いたとか、映画通には今注目されている映画だったようだけれど、特に映画通ではない私がこの映画の存在を知ったのはつい2週間前の事。たまたま観てきた、という人のツイートを目にしてなんとなく気になった。…いや、気になったんだけれど、タイトルがなんだかいかがわしくて、女子高生の恋愛とかの生々しい衝突、人間関係のドロドロを詰め込んだ系…?と尻込みもした。でもググっていくうちに、そうでもなさそうだぞ、と。

 


映画『私たちのハァハァ』予告編 - YouTube

 

福岡の片田舎に住む女子高生4人が好きなアーティストに会うため自転車で東京に向かう青春ロードムービー。しかもその彼女たちが好きなのが「クリープハイプ」だと知り、にわかではあるけれどクリープハイプいいな、と思っていた私は「これは観にいかねば」と。しかも丁度先日朝井リョウさんのエッセイ「時をかけるゆとり」を読んでいて、大学時代の朝井リョウさんがノリで東京から京都まで自転車で行く「地獄の100キロバイク」という章を読んだばかりだったので、あの死闘を女子高生が、しかも福岡から東京…?という興味もあった。ただし朝井さんはなんだかんだちゃんと自転車で京都に辿りついた(すごい!)けれど、彼女達は映画の割と前半でさらっと自転車を捨てたので、「自転車で向かう青春ロードムービー」というより、「自転車で向かおうとしたけど諦めてあらゆる手段を…青春!」という印象だった。

 

この映画はかなり異色で、まず主演の4人がほぼ演技未経験という事、そしてそれぞれが各方面でちょっとした有名人という事。

・シンガーソングライターの井上苑子さん

Vineの6秒動画で人気を集めた大関れいかさん

・「ミスiD2014」ファイナリストの真山朔さん

・女優の三浦透子さん 

私がこの中で知っていたのは、Vineの投稿動画で有名な大関れいかさんだけだった。それもいくつか動画を見たことがあるだけで、そんなに詳しくもない。

三浦さん以外は演技未経験で、でもそれが「女子高生のノリ」をすごくリアルに生み出していて、映画の始め「演技に見えない、4人とも自然すぎる!」と感じ、途中からは普通に女子高生の青春を覗き見しているような気分でいた。

 

鑑賞後の印象としては、詳しいあらすじを振り返っても、あまり意味が無いというか。

1つの映画作品を鑑賞し終えた、こんな物語だったな、というより、現実世界に彼女達がいてこんなことがあったんだな、という感覚に近くて、帰りの電車も作品から抜け出していない感覚だった。映画にあまり詳しくない身としては映画評論なんて全然できないししようとも思わないんだけれど、出来ないなりに、ただの女子高生の自撮り感とか、いるよねこんな群れてる女子高生、っていうのだけを全面に押し出した、生々しさをひたすら見せつけられる90分だったらどうしよう、などと一人で勝手に警戒していた。あるいは、危ない橋を渡りすぎて何か事件に巻き込まれるとか、まあそうなるよね、みたいなありきたりな展開とか、最終的に「まあ色々あったけど私たちずっと友達」とか、「あの頃は青春だったね」とか、そういう終わり方されたらどうしよう…とか(笑)

 

でも心配無用でした。一言で言うと、すごく面白かったし観て良かった。(※物語の核心の部分はないものの以下ネタバレ注意)広島の公園のベンチで4人の女子高生が野宿するとか、ヒッチハイクで見ず知らずの兄ちゃんのトラックに乗せてもらうとか、キャバクラで年齢詐称して働くとか、夜のクラブとか、安易なTwitter写真投稿とか。結構彼女の親達だったら発狂しかねないというか。親じゃなくても、危ないよ!とか、何かあったらどうすんの!って思うう事を割と次々にやらかしていくんだけど、そういう突っ走ってしまった危ない事が原因でやっぱりこういう痛い目にあったよね。やっぱり青春だって突っ走るのはよくないよね、っていう展開には全くならなかった。特に怪しい人に襲われるとか、事件に巻き込まれるとかもない。むしろなんだかんだ東京に近づいていく彼女達すごいな、結構いけるもんなんだなという感じ。

 

●言葉にできなかった女子高生の頃の感情を思い出す

しかもその女子高生特有のノリ、関係性のリアルさっていうのが、一応昔女子高生だった自分としては、表面的な女子高生っぽさではない部分をすごく感じられて。

私自身は、クラスできゃっきゃしてる彼女達みたいなタイプを少し遠巻きに見ている系だったとはいえ、なんかこういう空気あった!が随所にあって。

以下、映画の帰りに電車でEvernoteにかなり雑にメモした「リアルだな」と感じた事や感想の一部をほぼそのまま。

 

・すごくリアルな自撮り感、女子高生のノリ、芝居らしくない演技、その辺にいそうで、つるんでそうな顔と性格の女子高生。
・よくある映画みたいに、1つの事実やセリフが後の展開に引っ張ったりしない現実感。

・軽くてなんとなく発したくなるセリフ。その割に自分でもはっきりしない感情。

・ずっと同じテンションではないから時折自分を客観的に見て冷静になるし、どっかでわかっているけどなんとなならないかっていう気持ち。

・仲間だし、瞬間的には「この友達なら自分の色々な感情の全てを曝け出せる」と感じるのに、わりと直後にちょっとした事で感じる失望。仲間だけど敵だけど仲間みたいな。

 

…他にもいくつかメモってるけれど、あまりにメモが雑なので。

でも広島の野宿のシーンとか。その場の雰囲気もあるけれど、「この人と私は今全く同じ感覚で生きてる、今私の気持ちを100%理解してくれてる!」って嬉しくてたまらなくなったり、全能感に満ち溢れたりした事が中学の頃私は経験があって。(正直高校生の頃は彼女達よりもう少し落ち着いていたかも。)

でもその後、ちょっとした一言とか、別件でその友達との意見の相違を感じて、表向きもちろん衝突とかはしないし「親友」のままなんだけれど、実は「あ、やっぱり私と彼女は違うんだ」って寂しくなったりした。

今となってはそういう自分と同じ価値観・感覚の人が親友とかでは全くないし、そもそも全てを理解してくれるなんて不可能だぞ、と思っているからある程度その辛さからは解放されたんだけれど。

 

そういう言葉にできないモヤモヤがいっぱいあって、無意識だけどそれが琴線に触れて衝動的な感情になったり、今となっては恥ずかしい事もしたなあ、と。

そんな事もう最近は忘れていたし、綺麗に思い出らしく写されたアルバムとかを見てもその頃のそんな感情を思い起こすことなんてできなかった。でも、結構そういう言葉にできない所に日々支配されていた事を思い出した。

 

●アーティストとの距離と「好き」の違い

アイドルでもアーティストでも俳優さんでも、何かのファンになった事があるならこの「好き」の違いってすごく共感できる部分で、それもすごくリアルだった。

クリープハイプが大好きだから東京に行く。同じクリープ好きでも、ほとんど狂信的に好きな文子と、音楽が好きで、その中の好きなアーティストとしてファンな一ノ瀬。狂信的な文子から見れば「にわか」と感じられるかもしれないチエ、彼氏もいて、ノリは良いがそこまでクリープに熱狂的ではないさっつん。

それぞれの好きがあるのは当たり前。熱量が異なるのも当たり前なんだけど、同じ目的のために(特に極端な)行動していると、その違いが徐々に衝突の火種になってくる事もあるだろうなーと思った。

私はつい最近まで「ジャニオタ」さんが苦手で、彼女達の「好き」から生じるノリとか行動を全く理解できなかった(身近にいたクラスメイトやSNSのジャニオタとか)。それはツイッターで時折見かける排他的なツイートとか、 ただ狂信的に彼らが好きな自分に酔っているだけなんじゃないかと思える「キャー」っていう声とか、自分の好きなアイドルが何をしても「可愛い」を連呼する所とか。高校くらいまではそういう狂信的に騒いでいるイメージがただ苦手だったけれど、Twitter等で、自担はこうあるべきだ、グループの方向性はこう進むべきだとか、好きだからこそ厳しい事もいいますよ、という態度もすごく嫌で。そういう一ファンが彼らをなんでも知っている気取りで語っているツイート等を見てもなんだかなあ、と思ったし、ジャニオタだけがそうとかでは実は全くないんだけれど、勝手な長年の固定観念で、何かに熱狂的なファンを冷めた目で見てしまっていた。そしてそういう類のファンへの苦手意識に影響されて、ジャニーズやアイドル自体を長年好きになれずにいた。(※今はそうやってどこかで馬鹿にしていて、視野が狭くなっていた自分を反省している)だからそこから、ひょんな事から応援したくなったあるグループを、「好き」と認めるまでに1年近く葛藤したりしたんだけれど。

よく⚪︎⚪︎(アーティストグループ名)のファンはボーカルに狂信的なファンが多いとか、あのファンはキチガイだとか、ファンごとになんとなく現れる特徴をさも全員がそうであるように批判したりする言葉をネットで見かけたりするし、なんとなく100%ではないけれど「確かにそうっぽい」とか、よくわからずに良い印象や悪い印象を勝手に持ってしまう事があったけれど。

同じ人やグループを好きでも、本当に色々な好きがあるんだよなって、この1年で特に痛感した。そしてその好きの違いが、何が正しい、間違っているとかは全く無くて、熱量が多ければ良いというわけでもない。自分が好きなように好きでいれば、というのを再認識させられた。というか、いろんな「好き」の形を認めてもらえないと、息苦しくてしょうがない。まあそれでも、他のファンやファンでもない人に迷惑をかけたり傷つけたり、そこから発展して応援しているアーティストの足も引っ張ったり、なんていう行為は、やっぱり良くないな〜とは思うけれど。でもそんな人はほんの一部で、大多数の人は自分の「好き」に素直でキラキラしてて眩しなって思えるようになってから、色々な事が楽しくなったし、更に色々なアーティストを自分なりに好きなれる出会いがあった。

とりあえず、この映画と出会えてよかった。

もっと色々な映画を観よう。

作家が語り合う貴重な番組「タイプライターズ」MC:又吉×加藤シゲアキ ゲスト:羽田圭介 がやっぱり面白い。

6月26日の初回放送から早3ヶ月。

単発番組だったけれど、初回の番組の最後で「第二弾があれば」という話をされていたので、これは是非第2弾をやって欲しい!と思っていた。3ヶ月で願いが叶って嬉しい。この番組は、芸人で作家の又吉直樹と、アイドルで作家の加藤シゲアキ(NEWS)の2人がMCとなって、ゲストの作家さんと作品等についてトークするバラエティ。

前回のゲストは今年「武道館」というアイドルの小説を出版された朝井リョウさん。 3人とも兼業作家(朝井さんは最近まで学生作家→サラリーマン作家)であり、更に朝井さんの最新作は女性アイドルが主人公の小説とあって、アイドルをやっている作家と、アイドルを書いた作家、そしてアイドルではないが芸能界を生きる作家のトークであり、物凄く内容が濃くて面白かった。

そして今回は羽田圭介さん。「火花」と共に「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞された方。作家MC2人ならではの羽田さんとのトークも多くあり、ロケもほのぼのしていて面白かったので、個人的にいいなと感じた箇所のまとめをば。 

 

"プロの作家とは書く事をやめなかったアマチュアのことである" Richard Bach

オープニングでスタイリッシュに出される名言が、毎回の対談内容を集約した言葉のようで深い。今回で言うと3人は、芥川賞は受賞してからが大変である事、本を出し続ける事の大切さについて語っている。 

羽田:作家って新人よりベテランの方が1回売れないデータを作るとやばい。書店に置かれないと実績も作れないので負のスパイラル

羽田さんはバラエティ等で、本の売上等に対する正直な発言をすることで笑いと取っているけれど、実際本が売れ続けることってすごく大事だし、どの作家にとってもこのスパイラルと戦わなくてはいけないんだから、作家ってすごい職業だと思う。 

 又吉:芥川賞を受賞してウケにくくなった。今までは変な事を言って、「変な事言ってんじゃねーよ」だったのが、皆一瞬考える、「これはどっちだ…?」と。

 だからこそ今は特に、隣に格差キャラとしてボケつつ今まで通り又吉にツッコミもできる綾部が必要なんだよ、と思ってしまう私のピース脳(笑)

加藤:普段書くときに気をつけていることはありますか?

羽田:感傷とか被害者意識には頼らないで書こうと思っています

加藤:それは具体的に…

羽田:繊細に成りすぎた心で世の中を見ると外部を敵にすることで物語を進めるって結構簡単にできてしまうので。そういうのは辞めようかなと思っています。

加藤:そうか〜。逆に簡単なやり口には頼らないようにしてるって事ですよね。

羽田:そうですね。普通のドラマとか映画ではやりにくいような混沌とした物を描きたいってなった時に、小説にしかできない事をやろうと。 

  こういう小説を書く側の視点を聞きだせる事と、物語を書く側の視点にMCが共感できる所が、MCが物を書く2人である魅力だと思う。

芥川賞を受賞し、今後について

又吉:絶対苦しい時代は来ますよ。言われますから。

・先輩受賞作家として中村文則さんからアドバイス(VTR)

中村:芥川賞受賞作をその作家の代表作にしないように、それを超えるような代表作を作るっていうのが次のステップだと思います。

向上心だけあれば作家は大丈夫だと思います。これが多分1番のポイントで、2人共それは持っているので大丈夫だと思います。

確かに、「向上心」は又吉も羽田さんも十分持っていると思うし、そうじゃないとこれまでやってこれていないだろうとも思う。

又吉:何を書いても誰かに何か言われるじゃないですか。だからあんまり気にせん方がいいですよね」

加藤:そうですよね。処女作は、他人より面白いとか、好きとか面白くないとか言われるじゃないですか。 そこからって自分の作品と比べられていくんですよね。

前作の方が面白いとか、超えたとか。過去のあれより面白いとか、そういう風になっていく事も多いんで。過去の自分が敵になっていくのって「超えたい」っていうかなりの向上心が必要だなって。

又吉:そうですよね。

 「処女作以降は自分(の過去作)も大きな敵になる」っていう言葉に、羽田さんも大きく頷いていたのが印象的だった。勿論又吉はこれからがそういう意味で大変になるだろうし、他2人は既に複数小説を出しているから、本当にそこが作家さんにとって苦労する所なんだろうなと。

 

 ●作家3人の商店街ロケ

サイン本は版元に返品できないので書店でサイン本を書かせてもらうという発言から。

お肉屋さんを発見し、何か食べる空気になったけれど、撮影前にお弁当を2個完食しお腹空いてないと正直に言ってしまう羽田さん(笑)

加藤:こういう所のメンチカツとかめっちゃうまいっすよね

又吉:コロッケもありますよ

又吉・加藤:どうすか羽田さん(笑)

羽田:じゃ、食べます。

加藤:もし良かったらロケ交渉を…

でも結局まったりした2人におされ食べる事になり、ロケ交渉もした流れが面白かった。その後書店でサイン本を3人で協力して書いていたり、売れる分だけ書いて下さいと実際店長さんに言われている場面も。

 

・新宿の「池林房」にて

羽田さん憧れの作家椎名誠さんの行きつけの居酒屋へ。椎名誠さんの旅エッセイを読み作家に憧れた話。これは別番組でも話していた。

鳥ハムを作るという羽田さんに、同じく鳥ハムを作るという加藤さん。それを聞いて

羽田:え、鳥ハムフレンドみたいな感じ…

加藤:やっぱり辿りつきますよね。

又吉:鳥ハムっていうのもあんまわかんないです。何をおっしゃっているのか…

と言い、鳥ハムあります?と店主に聞く又吉と、研究しますと返す店主さん。ここも面白かった(笑) ちなみに映像は出ていなかったけど次のコーナー前に、羽田さんがウイスキーを注文していて、笑いが起こっているのが聞こえた。

・何故合理的な性格の人が小説を書いているのかと読者に問われた話から…

羽田:小説って、役に立つとか立たない、とかから外れた所にある価値観とかを提示していく事が、まあ結構小説の強みだと思うんですよね。

「役に立つ・立たない」と「合理的」な事は、似てるけど違う。

あとは、既婚者の女性と飲むのは無駄で、一番合理的なのはいやらしい女と飲むという羽田さんに対して、「うちの相方と全く一緒っすね」と綾部の事を話題に出していて嬉しかった。そして、受賞後の目標としては、書店に本を置き続けてもらう事だと言う羽田さんと、もともと本自体が好きだからこそ、毎年本を出してきたので、それを持続したいという又吉。ここでは芥川賞受賞後の話だったから2人の目標のみだったけれど、加藤さん自身、処女作の「ピンクとグレー」の出版以来毎年ちゃんと本を出し続けているし、今回の「大切な事は本を書き続ける事」っていうテーマ的にも加藤さんのその辺りの話ももう少し聞きたかった。

・収録を終えて…

「いつか作家さんと我々で、泊まりでキャンプに…」とおずおずと話す又吉。

テント張って焚き火しながら本の話するとか…」という提案。

そんなの私もやってみたい←

そして前回の朝井さんとの対談の流れから継続して、第3弾が無かった場合ゲストの羽田さんのせいになるよっていう話(笑)

もし第3弾あるとすれば誰かな?これまでの所MC2人と年齢的に近い方が来ているから、20〜30代で2人と色々話せそうな人だとすると…やっぱり西加奈子さんかな(笑)もう又吉とは雑誌でも番組でも対談しまくってはいるけど。3人だとまた面白い事になるかもしれないし。

・収録後羽田さんよりメッセージ(省略部分有り)

数年間僕の本を置いてくれていなかった啓文堂書店府中店という見慣れた風景に、今をときめく加藤さんや又吉さんの姿が重なると、時空が歪む感じでした。楽しかったです。

●全体の感想 

羽田さんは単独でも複数番組で受賞の話・プライベートの話はされているから、そろそろ本当はただ羽田さんについて語るだけでは他番組の二番、三番煎じになってしまうかもしれないと思っていた。

ただ、MCが実際に本を書いている2人なので、同じ小説家同士として引き出せる話があるのではと期待していたし、前回の朝井リョウさんとの対談がとにかく面白かったので単純に楽しみだった。

 総括としては、第二弾もやっぱり面白かった。第三弾の発表待機に入ります。

ただ個人的にはの前回の又吉×加藤×朝井対談の方が神回だった気が(笑)

というのも、羽田さん初見の視聴者を考慮してか、また芥川賞作家2人の共演だからか、芥川賞はどんな賞か、受賞の前後どうだったか等、読書好きや羽田さん好きからすればもう知っているであろう話も前半多かったので。

でも何よりこの番組が魅力的なのは、作家の語る苦悩だったり、信念について、MC2人が他人事ではないという事。どういうきっかけで作品を書いたのかという話や、どこで小説を書いているのかという事はもちろん、その作品を生み出すまでの苦悩が、同じ小説の書き手として共感できる部分が多い所とか。ゲストの意見を元に自分の実感を思う所として語れるっていうのがすごーく魅力的だと思う。

…といいつつ前々から、本業は別だったけれど小説を書き始めた2人っていう共通点からいつか又吉直樹×加藤シゲアキで対談なり共演なりしてほしいと思っていたので、それが叶ったからこそ、単純にこの番組が毎度楽しみでしょうがないんだけど…!

いつかゲストなしで2人きりのじっくりした対談も見てみたい気もする。

 ていうか、前回書いたさかなクンみたいに、又吉だけでなく加藤シゲアキさんもこの半年くらいで自分の中で好きな(尊敬する)芸能人リストに入っているので、その辺りの事も今度書きたいな〜。