くろみつの隅の囁き

文化系全般を勉強中。2〜3次元までミーハー気質。又吉ごととか。

又吉のブログ「猿」のためなら私は。

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ピースを知ったきっかけはYoutubeで見た、まだ売れる前のコントを見てからだった。斬新で独特で、1つのネタで時折壮大な物語の世界に惹き込まれた気持ちになって、関連動画であらゆるコント・漫才を探しまくった。

息もつけぬ程爆笑、というのではないけれど、ひょんな所で笑いを取りにくる独特な芸風。時にはボケとツッコミが逆転したり、2人共ボケて、観客の心の中でツッコミを持たせて笑いに変えるような展開。何より、ピースというコンビ名が象徴するような、愛を感じるコント。

 

こうしてたまたま関連動画かなんかで見たピースというコンビの虜になった私は、とりあえず二人に関するプロフィール等をネットで調べて、出演番組や掲載された雑誌・Webの記事などをひたすら調べた。同時に、2人がそれぞれブログをやっている事を知った。

 

ブログのタイトルは「猿」と「蛇」。

 

又吉が猿で、綾部が蛇。それぞれの干支だった。

渋い!とそれはそれで益々好きになった。

 

まず綾部のブログ「蛇」を見た。主に自撮り写真が多く、

文字は少なめ。とはいえ自分が1番格好良く見える角度を極めて撮ってます系の自撮り、というよりは、ダボっとした私服姿でとりあえずパシャ、ちょっと文字沿えて更新!というラフな雰囲気で、なんかいいな、と思った。

 

次に又吉のブログ「猿」を見た。

綾部のブログとは見事に対照的で、芸人とは思えないくらい静かな文章。

けれど何だかすごい物を発見してしまった気持ちになった。

又吉が太宰の「人間失格」を始めて読んだ際に感じた主人公に対する

共感。おこがましいけど、私はこのブログを読んで同じような事を又吉に感じたし、それによってすごく救われた気持ちになった。

その晩のうちに、一気に過去の記事を全て遡り読み耽った。

 

又吉のブログの文章に度々登場する後輩芸人がいた。

現在又吉が一緒に住んでいるジューシーズ児玉とパンサー向井。

ブログではよく2人と夜の公園を散歩した際の話が書かれていた。

同様に彼らと喫茶店に行った時の話もあった。

一般的にコミュ力が高くて明るくて、人付き合いが派手そうなイメージ

の芸人さんが、男2人で喫茶店に行く。それも、記事で又吉が綴るのは、自意識が過剰になり空回りする自分に淡々とつっこむ後輩だったり。

そんな所もいいなあ、と思った。

 

普通は何気ない日常や仕事の告知が主となるブログでも、又吉の文章は読んでいるとくすっと笑えて、どこか物悲しくて、でもただの悲観的とは全然違った。普段言葉にはしないし自覚する程ではないけど、私も過去に似たような事あったな、という事を言葉にして気づかせてくれて、私だけじゃないんだと少し安心させてくれてくれるような文、という感じ。

そんなこんなで、又吉のブログ「猿」を読んで、又吉直樹というお笑い芸人を尊敬して、応援して、大好きになった。

 

だから、更新頻度がどんどん少なくなっていったのはしょうがないにせよ、ブログが無くなってしまった事を知った時はかなりショックだった。

過去に戻れるのなら全記事をスクショしたいし、「全て手書きで写す以外に残す方法はない」って言われても迷わず書き写す。

勿論書籍化してくれたら買う。なんなら保存用と持ち歩き用とおすすめ用に3冊は買いたいレベル。

要するに、あの今は幻のブログ「猿」をもう一度読みたくてしょうがない。

 

ブログの更新がなくなってから、又吉はツイッターを始めた。他の芸人さんに比べて呟く頻度は少ないけれど、1つ1つの呟きが噛めば噛むほど味がでてくるガムみたいに濃い。140字という制限の中でなんでこんなに味わい深いツイートができるんだろうってくらい面白い。

それもすごくすごく好き。今度お気に入りの呟きをクローズアップしたい。

 

でも、やっぱりもう少し1つの事を長く語ったブログ記事が読みたくて。

単純に長い文章が読みたいだけならば、又吉はよく雑誌でエッセイを書いているからそれで事足りる。そういうエッセイもすごく面白い。けれど、ブログの記事とエッセイが異なるのは、1番のびのび書いている感じがしたこと。

程度はどうあれ人から見られる事を意識して書くのはブログでも雑誌でも当たり前だけれど、仕事として出版社からお金をもらっている雑誌のエッセイに比べて、あのブログは自分で自分を売るためのもの。もしかしたら事務所から多少のお金はもらえてた可能性はあるにせよ、基本的にタダで、おそらくあまり大多数が見る想定としては書いていない言葉達。

だから、なんとなくブログの文章の先で、夜に又吉が寛ぎながら文を綴っているイメージがして、私も寛いで読んでいた。

 

又吉の日常的なエッセイでいくと、その後「第2図書係補佐」というエッセイ仕立ての本を紹介した本も評価が高かったし、「東京百景」もより詩的だった。この2冊もよく読み返す。

 

ただ、もしあの又吉のブログ「猿」を読めたなら、普段感動しても泣けない自分もなんだか泣いてしまいそうだな、と思う。

 

そんな事を考えていたから、この前京都で始めて知恩院(綾部と又吉をある意味結びつけた寺院)へ行った際、気がついたら申年でもないのに申(猿)のストラップを買っていた。

第1回 ピース(綾部祐二さん 又吉直樹さん):京都の観光情報 | DigiStyle京都

 

さすがに買うなら自分の干支でしょ、と思っていたのに。

そんなに又吉のあのブログ読みたいんか、と少し自分に呆れたこの頃でした。